精神病院の人権侵害・不祥事   朝○病院問題 特集


目 次

<2001年7月17日>朝○病院」が廃止

<2001年6月17日朝日新聞埼玉版>高齢・単身、進まぬ転院 閉鎖迫る朝○病院

<2001年05月29日>医療指導監査室:朝○病院の監査結果について:厚生労働省

<2001年05月29日>朝○病院:ついに保険医療機関と生活保護法医療機関指定取り消し決定 !!

<2001年4月25日>不正受給疑惑で  埼玉の病院聴聞  保険医指定取り消しへ

<2001年2月8日>受け皿なく長引く滞在     精神病院の入院患者に生活保護なぜ多い

<2001年3月30日>朝○病院に3度目の改善命令 全国初の入院制限も

<2001年3月29日>朝○病院:埼玉県が入院制限命令 入院形態が不適切と

<2001年2月>日精協誌巻頭言 朝○病院不祥事件に思う

<2001年2月26日>無策の谷間 痴呆難民行き場なく精神病院に3−5万人

<2001.1.18>朝○病院事件後の埼玉県医療監視の見直しを撤回

<2001年2月1日>きょうは「精神病院」朝○病院 ホームレスAさん受け入れ 生活保護を悪用?

<2001年1月23日> 埼玉の朝○病院を監査 不正受給疑惑で県

<2001年1月23日>朝○病院の診察報酬請求、水増しの疑いで調査

<2000.11.30>「人権無視の拘束?不必要な薬大量投与?老人患者の不信死…証言・その病院で行われていること」ニュースステーション


  • 朝○病院」が廃止届
  • <東京読売朝2001年7月17日>

     IVH(中心静脈栄養)療法の乱用や“カラ検査”などで診療報酬を不正請求したとして健康保険法に基づく保険医療機関の指定取り消し処分を受けていた埼玉県○○町の精神・内科病院「朝○病院」(朝○重延院長)は十六日、同県に病院の廃止届を提出した。
    以下略 詳しくはこちらへ→http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/ne171703.htm

    高齢・単身、進まぬ転院 閉鎖迫る朝○病院

    <2001年6月17日朝日新聞埼玉版>

    何十年も入院している精神障害者や、身寄りのない痴ほうの老人はどこへ行くのか。患者に対する不適切な治療や不法な拘束が発覚した朝○病院(○○町)が、多額の診療報酬不正請求を理由に保険 医療機関の指定を取り消される。
    だが、事実上の閉鎖まであと1カ月しかないのに、120人以上の患者はまだ転院先がない。転院を繰り返してきた患者を朝○病院が最後に引き取ってきたという実態が、その背景にある。


     「ここにいるのは、どこの病院でも持て余した患者たち。ここを出てしまえば、行き場がない人ばかりですよ」
     朝○病院で今も働く職員の1人は話す。
     身の回りの世話をしてくれる人がいない患者や、生活保護を受けている患者たちの転院先として、東京都内の病院や福祉事務所から患者の紹介を受けてきた。「どんな患者さんも『最期まで面倒をみます』と説明して受け入れてきた」とこの職員は言う。

     5月末時点で約160人いた入院患者の住所地は、東京都が約90人と半数以上を占める。ほぼ9割は60歳以上で、4割近くが生活保護を受けている。入院歴が20年を超える患者もいる。

     精神分裂病や痴ほうの患者が大半で、高齢のため多くは内臓疾患などとの合併症がある。だが、合併症の精神障害者に対応できる医療態勢を整えた精神病院は少ない。

     入院患者の半分ほどは身寄りがないか、親類の連絡先はあっても「死亡時のみ」という断り書きがついている。

     7月16日の閉鎖が事実上決まり、朝○病院は今月4日から1週間、連絡のつく患者の家族を呼んで転院の説明会を開いた。家族は口々に聞いた。「また3カ月で出されてしまうんですか?」。入院期間が3カ月を超えると診療報酬が下がる。退院を迫られ、病院間の「たらい回し」を経験した患者が多い。

     精神病床の利用率はどの病院もほぼ9割台で、空きベッドは少ない。加えて「単身生保(独り身で生活保護費受給者)は困ります」などと断られる。転院先探しは難航している。

     この職員は不正請求は事実だと認めるが、非難を浴びた患者の違法拘束については「精神保健指定医の判断に基づいた拘束なら問題なかった」とし、同じく中心静脈栄養(IVH)は「患者のためを思ってやった治療行為だった」と信じている。

     「現実に受け皿がない以上、患者さんが最期までいられる居場所も必要ではないですか」

     東京都内のある精神病院で働く職員は6年前、廃止した練馬区の精神病院から転院してきた男性患者の世話をした。

     その患者は閉鎖的な環境で10年以上も暮らしてきたため、開放 的な病院の雰囲気に恐怖感を抱き、不安がっていた。この職員は「長い入院生活は心と体に染み込んでしまう。環境の急変は大きなストレスになり、高齢者は病状が悪化するかもしれない」と話す。

     患者へのケアは人的にも経済的にも、おのずから限界がある。手がかかって面倒を見きれない場合は、より管理の厳しい「後方病院」に転院させる。患者の生活環境が悪化することを、心のどこかで知りながら。

     「朝○病院がなくなっても、システムが今のままでは何も解決しない。引き受け手のない患者たちの流れ着く先が、ほかにできるだけでしょう」。職員は言った。

    朝○病院 精神病床230、一般病床12の計242床。昨年11月、元職員の告発を受けた県の立ち入り検査で、患者に対する不当な拘束や入院措置が発覚。改善命令にも従わなかったとして県は3月、全国初の入院制限命令を出した。さらに国と県の調べで診療報酬の不正請求も明らかに。不正請求額は過去5年間で計1億円を超えるとみられる。7月16日付で保険医療機関の指定が取り消される。


  • 医療指導監査室:朝○病院の監査結果について
  • <2001年05月29日>

     朝○病院のある病棟の患者さん全員が不必要なIVHを受け、タッチガードでベッドや壁に拘束されていた。一般病室での乳がんの手術がおこなわれたり、不審な死亡がたえなかった。

     診療報酬不正請求疑惑のある埼玉県○○町の精神病院「朝○病院」(朝○重延院長)の保険医療機関と生活保護法医療機関の指定が取り消されることが29日、正式に決まった。埼玉社会保険事務局の諮問機関・埼玉地方社会保険医療協議会が同日、保険医療機関指定の取り消しが適当と答申したため。患者は健康保険での受診ができなくなるため転院の手続き期間などを配慮し、7月16日付で指定が取り消される。また、朝○院長の保険医登録も同日付で取り消される。
     厚生労働省によると、病院の不正請求額は、99年1月〜00年3月を中心とした確認分だけで計約2600万円。過去5年で、不正総額は1億円以上になるという。
     厚生労働省や県が入院患者のうち約30人を抽出調査したところ、同病院は1999年1月から昨年3月までの間、実際には行っていない胃・十二指腸かいようの内視鏡検査(一回11400円)や血液製剤の投与(一回20830円)を行ったように装い、さらに食事を自力で摂取している患者に不必要なIVH療法を施すなどして診療報酬約2670万円を不正請求していた。同省などでは、最終的な不正額はここ5年間で1億円を超えると見ている。

    詳しくは→Mainichi I NTERACTIVE

    詳しくは→ODN News Yomiuri ON-LIN

  • 不正受給疑惑で  埼玉の病院聴聞  保険医指定取り消しへ
  • <朝日新聞2001年4月25日>

    <毎日新聞2001年3月29日>

     患者の入院形態などをめぐって埼玉県○○町の精神病院「朝○病院」(朝○重延院長)に対して2度にわたって改善命令を出してきた県は29日、入院形態の変更を強く求める3回目の改善命令を出すとともに、精神保健福祉法に基づいて同日から3カ月間、新規入院患者の受け入れを制限する「入院制限命令」を出した。同命令は、昨年4月施行の同法改正で可能となって以来、全国初の適用。
     同病院では、強制入院の一種の「医療保護入院」が適当とみられる重症患者に対しても、入院手続きを簡素化できる「任意入院」扱いとしているとして、県から昨年、入院形態の見直しを求める改善命令を受けた。しかし病院側は「見直したが、問題はなかった」として事実上命令を無視してきた。
     県は同病院が精神保健福祉法に対する理解を欠きながら新規入院患者を受け入れるのは
    不適切と判断して入院制限命令を出した。
    詳しくはこちら→mainichi Interactive

  • 日精協誌巻頭言 朝○病院不祥事件に思う
  •  朝○病院不祥事件に思う  日精協誌■巻頭言 /2001年2月■
     

     朝○病院の問題が新聞,テレビで報道された。その実態を知るにつけ,国民がこれ
    らの報道により,真剣に精神科医療に取り組んでいる精神科病院全体に疑惑と不信感
    を抱くであろうことを精神科医療に携わる者として憂慮し,遺憾の念を禁じ得ない。

     また同時に,なぜいまだにこのような一般的な精神科病院と著しくかけ離れた時代
    錯誤的な病院が存在し,なぜこのような事態になったのかその原因を究明し,他にも
    このような状態があるとすればこれを払拭しなければならないと思う。

     朝○病院は会員病院ではないので,日精協から直接調査団を派遣していないが,埼
    玉県の調査資料と,新聞やテレビの報道によると,次の5点が問題となっている。

     第1に,精神保健指定医の厳密な病状の判断と手続きが必要とされている身体拘束
    や隔離が,精神保健指定医デュープロセスなしに,日常的に多くの入院患者に行われ
    ていたことは精神保健福祉法の重大な違反である。精神科医の常識から言えば全く論
    外のことであろう。

     第2に,任意入院患者に対する不当な退院制限,開放処遇の不履行および複数の患
    者のいる部屋に鍵をかける等の行為,TVで報じられている身体拘束のやり方は,日頃
    から行ってはならない重大な指導項目として周知されているべき事柄である。

     第3に,中心静脈栄養(IVH)が看護婦の選択で,十分な医師の指示なく,数多くの
    患者さんに頻繁に実施されていた。一般の精神科病院では考えられない異常なことで
    ある。

     第4に,診療報酬の架空請求。

     第5に,病室での外科手術である。

     これらのうち第1,2は,精神科病院の管理者であれば当然知っておくべき精神保
    健福祉法の基本的知識の欠如が著しいといわざるを得ない。第3,4は,本来病院に
    欠くことのできない「医療の理念,医師としての倫理感」の喪失であり,経営優先の
    病院の体質を露呈している。第5は,医療機関としての基本を大きく逸脱した行為で
    あるとしか言い得ない事柄である。

     全国の精神科医は許せない気持ちでこの報道を聞いたのである。現在入院しておら
    れる34万人の精神障害者,家族の気持ちを思いはかるとき,その気持ちは一層高ま
    る。

     昭和62年の精神保健法改正以来3回の法改正を経て,この13年の間,精神科病院は
    人権擁護に力を注ぎ,多くの課題を抱えながら,医療環境の整備,良質な医療の確保
    に非常な努力を払い現在に至っている。

     人権擁護に対するチェック機構としては,1)各県の精神医療審査会の設置による
    処遇改善の命令,2)人権保護の守り手としての精神保健指定医の役割強化とカルテ
    記載義務等の整備,3)隔離拘束等の行動制限は最小限の原則に従い,やたらに身体
    拘束を行うことは禁じられている。

     平成11年の法改正では,平成5年の大和川病院事件を受け,悪質な精神科病院への
    入院医療の制限命令創設,精神医療審査会機能強化,ならびに精神保健指定医に,他
    の指定医が義務を果していない場合,管理者にこれを報告し,その病院に関わる指定
    医全体で人権に関する事項を守るということが規定された。

     また,精神科病院の監督強化がなされた。毎年行われる医療監視では,精神科病院
    におく人員基準等においても厳しく監査を受ける。実地指導では隔離拘束の調査等人
    権に関する事項のチェックを受ける。医療保険についても保険課の調査がある。生活
    保護に対しては厚生課の監査があり,このように病院へのチェックは何重にも行われ
    ているのが現状である。私はこれら行政の監視,指導を受けるに当たって,職員に対
    して「監査とは自己点検の機会」であり,自らの姿勢を正し,自浄作用を強めること
    の必要性を強調している。

     民間精神科病院の約8割,1,214病院を傘下におく日本精神病院協会は,精神障害
    者の人権尊重を第1に考え,常日頃より会員病院の向上と精神保健福祉法の遵守に努
    めているところである。精神保健福祉法や病院運営に関する各種講習会を頻回に開催
    し,法改正の度に実務マニュアルを発刊し,国や都道府県行政の指導が会員に浸透す
    るように周知徹底をはかり,さらに各県支部において会員間でピアレビュー等を推進
    している。このように会員同士で監査しあい自浄作用に努力している。もし問題とな
    る事件が発生すれば,直ちに会員病院には調査団を派遣している。この方式でカバー
    できないのが非会員病院で,情報欠如のまま時代の動きを把握できないでいると,取
    り残され,その結果として,今回のごとく現在の医療水準を遥かに下回る異常な事態
    を引き起こすことになるのである。このような問題病院に対してこそ,国や県はすみ
    やかに対応し,監督を強化し,その手をゆるめるべきではない。

     一方,すべての日本の精神科病院においては今回の事件を他山の石とし,今の激し
    い医療改革時代に,必要な情報から耳をふさぎ,目を閉じ,行うべき対応,改善を行
    わなければ,気がついたときには,時代に遅れた医療を続け,不祥事件につながる状
    態におかれていることもありうることを,肝に銘ずるべきであろう。時代の流れの方
    向性を示す情報を取り入れ,管理者を筆頭として全職員で病院内に「自浄作用」の流
    れを作ることが,このような不祥事件を防止する最善の方法であると思う。

    無策の谷間 痴呆難民
    行き場なく精神病院に3−5万人

    <朝日新聞2001年2月26日>

     乱脈医療で問題になっている埼玉県の精神病院・朝○病院の医療監視に入った埼玉県の職員は驚いた。入院患者の八割以上が痴ほう症のお年寄りなのだ。しかも、平均四年近く入院している。痴ほう症のお年寄りは全国で約百五十六万人。うち精神病院に入院しているのは三万五千人とも五万人とも書われる。家族も支えられず、介護施設も足りない。こうやって生まれた「痴ほう難民」がいま、精神病院に流れている。痴ほうを抱えたお年寄りに、精神病院はふさわしい場なのか。
    報酬優遇、増床促す
    ●収容所
     埼玉県の女性(四八)は、三年前、痴ほう症の母親(七六)を精神病院に入院させた。女性は仕事を持っているため、面倒をみることはできない。老人病院には長期入院を断られた。介護施設はいつ空きがでるかわからない。保健所に尋ねて精神病院の痴ほ
    う専門療養病棟を教えてもらった。おしゃべりだった母は入院後、薬のせいか、ほとんどしゃべらなくなった。ふろは女性の時間に男性がまじる。服もピンクに統一され、散歩も許されない。まるで「収容所」だった。

     一昨年、スタッフが一緒に寝起きする家庭的なグループホームに移って一変した。好きな服を着てスタッフと散歩や買い物を楽しめる。笑顔が戻ってきた。

     痴ほう対策に精神病院を組み入れたのは、実は厚生省(当時)だ。一九九〇年前後に、精神病院に痴ほう専門の治療病棟と療養病棟を相次いで導入した。

     人手や居室面積、歩く回廊など一定の要件を満たせば、診療報酬が優遇される。九九年現在、痴ほう専門病棟のベッド数は約一万七千床で、増え続けている。

     一般の精神病院でも痴ほうを診るという流れは、このころから加速された。朝○病院の場合は、痴ほう専門病棟ではない。痴ほう症と他の患者の混合病棟で、痴ほう症のお年寄りは体をつながれ、おむつをしていた。不必要な治療で体調を壊していたという。

     全国自治体病院協議会精神病院特別部会長の伊藤哲寛さんは「ベッド数を確保して、病院が生き残るために痴ほうを受け入れる病院があるのが問題。精神医療は治療を必要とする急性期の患者にとどめ、それ以外は福祉に任せるべきだ」という。
    モデル自ら「脱施設」訴え
    ●薬で無表情
     「間違いに気づくのに、十年かかった」
     岡山県笠岡市にある痴ほう専門の精神病院「きのこエスポアール病院」の佐々木健院長の言葉だ。

     当時の厚生省が痴ほう病棟をつくった十年ほど前、モデルにした病院のひとつだ。その「モデル」の主が、「間違っていた」と打ち明ける。

     以前は、痴ほう症の八割に向精神薬を使った。だが、薬の影響で足元がふらついて骨折したり、元気に歩いていた人が一日中、眠り続けたり、お面をかぷったような無表情になったり。一時的に効果はあっても、かえって悪化した。

     九五年、研修にスウェーデンを訪ねたことが大きな転機だった。グループホームが広がり、「脱病院」改革が進んでいた。生活の場は病院もホームも自宅も大差がない。病棟にキッチンがある。個室にはなじみの家具を持ち込む。ネクタイをしめている老人や、女性はネックレスやマニキュアをしている。

     日本では「徘徊(はいかい)」としか見えなかった痴ほうの問題行動が「散歩」に見えた。

     佐々木さんたちも九六年にグループホームを作った。病棟にもユニットごとに台所を作った。みそ汁のにおいが安らぎを生む。古い家具や鏡台も置いた。ふろも個人浴槽に。薬は当初の十分の一に減らした。お年寄りの表情が変わった。
     「本当に入院治療が必要なのは、百九十人のうち約二十人だ」
    厚労省「医師の裁量で」
    ●犠牲者
     十年前、痴ほう専門病棟のモデルにしたこの精神病院が、姿を大きく変えている。だが、厚生労働省の精神保健福祉課は「医療やケア内容まで行政が踏み込まないほうがいいし、患者を直接診ている医師の裁量で判断することだと思う」というにとどまる。

     高齢者痴呆(ちほう)介護研究・研修センター研究主幹の永田久美子さんは「痴ほう難民の対策を」と呼びかける。「在宅サービスの量も質も、ホームも全く足りない中で家族が困り果て、難民のようになって精神病院にたどりつく。痴ほう対策の遅れの犠牲者です。不適切な医療やケア、環境で、症状が悪化する作られた痴ほう障害が一〇〇%といっていい」

     精神科医療も高齢者福祉も、どちらも対策が中ぶらりん。その谷間に痴ほうのお年寄りが落ちている。

     グループホームや在宅サービス、介護施設の整備、それに精神医療の根本的な改革なしに「痴ほう難民」は救われない。
    お年寄りたちが、グループホームでスタッフとともに食事をつくる。キッチンに笑い
    声が響く=岡山県笠岡市で

    朝○病院事件後の埼玉県医療監視の見直しを撤回

  •               <2001.1.18朝日新聞>
  • 「ほかの施設も調査へ」の報道記事について 

    平成13年1月17日(水)付朝日新聞記事について、1月18日(木)県健康福祉部次長 伊罷 容氏より高橋会長にたいし電話がありました。記事は別掲の通りですが、「県は16日、ほかの精神病院54施設についても、入院実態などを調査する方針を明らかにした。」といっくだりが問題の箇所であります。これにつき同氏は、「県としてはその様なことは云っていないし、その様な方針はない。全くの誤報である。埼精協にご迷惑をおかけし申し訳ない。」との事で、お詫びと釈明の電話であり、会長も了承しました。会員の皆様にはご心配のことと思い、以上取り急ぎご報告申し上げます。
    朝○病院 違法拘束  ほかの施設も調査へ  県 医療監視も方法見直し

     ○○町の朝○病院(朝○重延院長〉が患者を違法拘束するなどしていた問題で、県は十六日、ほかの精神病院五十四施股についても、入院実態などを調査する方針を明らかにした。精神病院は、精神保健福祉法に基づく県障害者福祉課の立ち入り検査 (実地指導)のほか、保健所による医療法による医療監視も行われているが、県は医療監視の方法も見直す。
     県障害者福祉課の立ち入り検査は毎年一回、保健所職員らとともに三、四人態勢で、事前通告の上、身体拘束の有無などを調べている。朝○病院は人員不足などが指摘されてきたが、同病院の実態が今回明らかになったことで、ほかの病院の調査にも踏み切る。
     医療監視については、昨年四月の法改正で、患者の入院状況や職員配置、感染性廃棄物の処理の仕方などの監視項目について、県の裁量が認められるようになったといい、新たな監視項目の追加などこれから検討したいとしている。


    朝日新聞2001年2月1日朝日新聞社 Asahi .com


     病室での手術や中心静脈栄養(IVH)の乱用、身体を縛ることなどが問題になっている精神病院・朝○病院。実は、ここに入院している患者の四割が、生活保護を受けているという。昨年十月まで入院していた男性に会うことができた。彼は、朝○病院が精神病院であることを知らされずに連れていかれ、自分に「精神分裂病」という病名がつけられていることを、つい最近まで知らなかった。(生井 久美子)

    精神病院とも告げず、拘束

     「新宿区役所の人がどーして精神病院に連れていったのか、わからないんですよ」。Aさん(五九)は青いパジャマ姿で首をひねる。
     ホームレスだった一昨年の夏の夜のこと。東京の新宿コマ劇場の近くで倒れて、救急車で病院に運ばれた。酒の飲み過ぎだった。吐血したのを覚えている。三カ月ほど入院したが、病院の名前は覚えていない。
     ある日、四十代くらいの男性が来て「新宿区の者です。医療費は福祉で払いますから」と告げられ、生活保護の手続きをとった。三カ月ほどして、再びやって来たこの男性に「移ります」と言われた。行き先や理由の説明はなかった。
     一昨年十二月、車で埼玉県の朝○病院に連れていかれた。すぐに両手足、腰と肩を縛られた。「荷物みたいにひどい縛り方で。この年でおしめもされた」
     何の説明もなく何日も続く。周りの患者も同じだ。初めて精神病院だと知った。「警察を呼んでくれ」と看護婦に言ったがとりあってくれなかったという。
     ニカ月ほどして、右の首あたりから、IVHの点滴の管が入れられた。食事ものどを通らない患者にする治療だとは知らなかった。
     食事は自分でできるのに、両手足を縛られたまま、看護婦が食事を口に運ぶ。縛られたままだと、体がだんだん動かなくなる。口でひもをほどこうと必死になる人もいた。「だんだん慣れるんですね。このまま自分も死ぬのかと思った」
     Aさんは、不動産の仕事をして随分もうけた時期もあるという。バブル崩壊ですべてがだめになった。妻子とも別れていた。
     朝○病院に埼玉県の医療監視が入る直前の昨年十月二十七日、都内の病院に転院させられた。今度も、理由は告げられなかった。

    不要?な高額治療、国費で

     最初に収容された新宿の病院は、なぜ朝○病院に転院させたのか。もともと精神疾患はあったのか。
     Aさんが転院した朝○病院の複数の看護婦が覚えていた。Aさんのカルテには、精神分裂病の名前はなかった。肝臓疾患の病名が書かれていたように記憶している。
     生活保護を受けている人は、病状と関係なく「優先的」にIVHを受けさせるのが暗黙の了解だった。
     家族のいない人が多く、文句を言ってこないのと、治療費が高額になっても治療費は国から出るから取りはぐれがないからだという。
     Aさんを朝○病院に送った新宿区役所を訪ねてみた。担当課長は「個々のケースについては個人情報の保護でお話しできない」という。「一般論」と前置きをして、説明してくれた。
     「生活保護を受けている人が精神科に入院する場合、主治医の診断に基づいて、最終的には福祉事務所の嘱託医とケースワーカーが決めます」
     「Aさんは、精神科への転院の説明を受けていなかったと言ってますが」
     「説明は主治医がすることになっています」
     「では、精神科への入院が必要と診断した病院はどこですか」
     「個別のケースはお答えできないんです」
     「だれが朝○病院を選んだんですか」
     「主治医の関連で探してもらうのがいいんですが、できないときはこちらで探します」
     「朝○病院が問題のある病院だったことは知らなかったのですか。そのことについて責任を感じませんか」
     「申し訳ないけど、生活保護の指定をされた病院なので、埼玉県のチェックを信頼していたということです」
     新宿区からは、朝○病院に現在、六人の生活保護の患者が入院しているという。

    現状知らない福祉担当者

     Aさんがいま入院してる病院には精神科はない。院長が、Aさんの同席を条件に話してくれた。
     転院してくる際、朝○病院から、情報提供書をもらっているという。記載されている病名は、精神分裂病とアルコール性肝障害。しかも、分裂病は朝○病院で診断されていたという。
     Aさんは、この時初めて、診断名を聞いた。「分裂病の診断の説明も治療の説明も受けていないんですよ」と首をかしげる。
     さらに続く。朝○病院に入院した当時は、肝性脳症、アルコール性肝硬変、低栄養、胃かいようの状態だったという。薬の処方も肝臓と胃の薬の名があり、「ときどき睡眠剤を処方しています」とあるだけで、精神疾患のための薬はない。
     院長は「いずれにせよ、いまは内科的な開放病棟で問題は起きていないですよ」と話す。
     では、なぜ精神病院に入院しなくてはならなかったのか。
     「この情報だけではわからないけど、肝硬変で血中のアンモニアの濃度が上昇し、肝性脳症になって意識がほんやりすることがあるので、そう判断したのかもしれない」
     十分な説明も受けずに精神病院に入り、必要ない治療と苦しい身体拘束を受けた可能性がある。こういった状況を行政担当者は把握していたのだろうか。再度、新宿区の担当課に連絡を入れてみた。
     区の担当者は、年に最低一回入院先に本人を訪ねる。面会して病状や退院の見込みなどを尋ねるが、Aさんが縛られたりしたことは知らなかったという。
     担当課長は「もっと頻繁に訪ねたくても、一人で百件を受け持つので、とても無理なんです」という。
     新宿区の生活保護受給者は四千百世帯、四千五百人。うち入院者が七百七十人。精神病院は二百九十三人。これに対して、担当職員は三十九人しかいない。
     こういった生活保護の受給者が、精神病院の収入を支えているとしたら。ほかにも、Aさんのようなケースがあるのかもしれない。

    来週は  朝○病院のように、精神病院の乱脈医療が問題になるケースが増えています。来週の八日(木曜)は、今週の記事を受けた形で、なぜ、生活保護を受けている患者の多くが精神病院に入院しているかを探ります。精神病院の取材はいつも難航します。病院のガードは固く、行政もこの問題をタブー視している様子がうかがえます。来週の水曜日(七日)は、介護サービスの質の問題を取り上げます。

    1月23日 埼玉の朝○病院を監査 不正受給疑惑で県

      共同通信 http://www.kyodo.co.jp/ 2001.01.23より

     「埼玉県○○町の朝○病院(朝○重延院長、242床)が不必要な中心静脈栄養(IVH)や架空検査を実施して不正受給していたとされる問題で、埼玉県と埼玉県社会保険事務局は22日、同病院の監査に入った。3日間で院長や看護婦の聴取、カルテの精査などをする予定。 同病院の元看護婦が昨年4月、不正受給を指摘したのを受け、同県は昨年2回にわたり個別指導を実施。患者のレセプトやカルテを分析したところ、実際には行われていない内視鏡検査をしたように装ったり、必要のない患者にIVHを行ったりしていた疑いが強まり、監査に乗り出した.監査で不正が見つかれば、保険医療機関の指定取り消しなど処分などがあり得る。」           

    1月23日 朝○病院の診察報酬請求、水増しの疑いで調査

      朝日新聞社 Asahi .com2001.01.23より


    「埼玉県○○町の精神病院・朝○病院をめぐる診療報酬不正受給疑惑で、内視鏡検査に使ったとして同病院が診療報酬請求した薬の量が業者からの納入量よりも多いことが22日、分かった。厚生労働省とともに22日から合同監査に乗り出した県はカラ検査疑惑を裏付ける 証拠とみて調査を進めている。
    水増し請求の疑いがあるのは睡眠導入剤「ドルミカム」。胃カメラなど内視鏡検査の際に使われる。
    県は昨年8月、朝○病院をめぐる内部告発が相次いだことから、国民健康保険法に基づく立ち入り検査を実施。カルテなどを持ち帰り、薬品納入業者らに対する事情聴取を続けた。
    その結果、診療報酬明細書(レセプト)に記載されたドルミカムの使用量と納入量が食い違い、納入量よりも使用量が多いという通常はあり得ない状態になっていることが分かった。」
    同様の逆転現象は同じく内視鏡検査などに使われる薬品・硫酸アトロピンとブスコパンについても確認された。(03:28)
  • 看護婦は見ていた  朝日新聞2001年(平成13年)1月19日金曜日
    「黄色い点滴」乱用 埼玉・朝○病院 「妹に何が」姉たちの叫び
  • 二枚つづりのファクスが朝日新聞広報室に届いた。中心静脈栄養(IVH)の乱用などが明るみに出た埼玉県○○町の精神病院・朝○病院に入院していた妹が昨年、亡くなったという。その二人の姉に会いに行った。「黄色い点滴」「拘束」。妹の身に何が起きていたのか、ぜひ知りたいと話した。(生井 久美子、大和久 将志)

    点滴、結局抜けなかった

     姉たちは、身を乗り出すように話し始めた。
     五十代だった妹は、末っ子で母親にかわいがられて育った。近所の人の紹介で知り合った男性と結婚。子宝には恵まれなかったが、正月には、十数人ものおいやめいにお年玉を配り、楽しそうにしていた。
     数年後、夫の実家に住むようになって生活は暗転した。しゅうとにいじめられ、夫から暴力を受けた。ノイローゼになり、急に暴れ出すようになった。おしゃべりだった妹の口から言葉が出にくくなった。
     十年前、精神病院に入院し、夫と離婚。二回目の転院で朝○病院に移った。「あまり来ないでほしい」と看護婦に言われ、年に何度かしか見舞いに行けない。様子が急におかしくなったのは一昨年夏ごろだったように思う。
     病室を移され、両手足をベッドに縛りつけられていた。「黄色い点滴」を受け始めたのは、そのころだった。裸におむつ姿で寝かされていた妹は、がりがりにやせていった。
     昨年初め、妹は亡くなった。「病院でどんな生活を送っていたのか。なぜ急に衰弱したのだろう」

     妹のことを、何人かの看護婦に名前を挙げて尋ねてみた。みんな思い出すのに三秒とかからなかった。
     ある看護婦は、妹が入院したのは「確か三、四年前だった」と記憶をたどる。
     初めは、もぐもぐ食べていたが、言葉が出なかった。すぐにおむつを脱がないようにピンク色の抑制服を着せた。昼も夜もベッドに腰をひもで縛っていた。当時はそれが普通だった。
     髪が黒く、色白だった。「ただ、じーっとこちらを見つめてね。何か言いたかったのかもしれない。でも、じっくり一緒にいる余裕はなかったの」
     一昨年秋ごろ、食事ができない人に栄養を静脈から与えるIVHが始まつた。姉たちのいう「黄色い点滴」だ。
     確かに食事が遅く、介助に時間がかかる。口がきけないので文句も言えない。IVHの患者数を確保する病院の方針で選ばれたのかもしれない。
     だが、姉たちには「食欲がないので元気をつけるため」と伝えた。IVHを自分で抜かないよう、両手もベッドのさくに縛った。
     IVHをすると感染症を起こしやすくなる。抗生剤や血液製剤など、医療保険で使える薬を順に使った。IVHを抜けば、よくなる、と何度も思った。でも抜けなかった。
     体位交換をせず、床ずれが直径十センチに広がり、肉がえぐれて骨までみえた。相当な痛みのはずだが、もう声は出ない。
     声が本当に出ないのか、あきらめきったのか。「痛い思いをさせたから私たちには口を開いてくれなかったのか…」

     看護婦たちの話を姉の一人に伝えた。
     「自分が、なんとかしてあげられなかったかと思うと、つらい」と言った。

    コメント控えたい

     朝○病院の幡野登志男事務長は昨年十二月末、朝日新聞の取材に対して「埼玉県の監査結果などが出ていないので、個別の事例に関してのコメントは差し控えたい」と話していた。

    「黄色い点滴」妹にもこのIVHが使われていた=埼玉県○○町の朝○病院で

  • 「人権無視の拘束?不必要な薬大量投与?老人患者の不信死…証言・その病院で行われていること」「この病院で何が」
  • 2000.11.30のニュースステーション

    このタイトルで、特集が組まれ、埼玉県の朝○病院が取り上げられていました。
    ニュースステーションで、精神病院を取り上げるのは珍しいことです。安田系3病院の経過すら報道がなかったくらいですから。今後も続けるそうです。既に、埼玉県では調査を続けていると報道されておりました。
    5月に父親の精神保健指定医が死亡し、非指定医の息子が副院長から院長になり、6月以降は非常勤の精神保健指定医が週に1〜2回来ているだけだそうです。250床くらいの病院です。厚生省の松本精神保健福祉課長のインタビューも出ていました。
    近隣の患者は入院しておらず、東京からのホームレスの老人性痴呆を主に扱っており、10〜12床の和室の汚れた古い病室に、患者の腰に、犬か猿のように、腰にひもをつけられて壁につながれ並んでいる姿と、ベットの部屋でビデオでセグフィックスの7点固定で寝ている姿も映っていました。食事をとっているのに、IVHで栄養補給を受け、感染で死亡に至ったケースが3月の入院患者が1ヶ月ほどで死亡した事例として報道され、その事例について、リスクマネージメントで有名な大阪の八尾病院の院長が、安田系3病院の経過でも関わったということで、治療に関して、不必要な医療を行って、医原病を作って、無駄な医療をしているとのコメントが出ていました。
    元看護婦の証言も映像を伏せて出ていました。「殆どの患者が拘束をされており、食欲もあるのにIVHが行われ、感染をして、腎機能が低下し、多臓器不全で死亡してゆく。食欲にかんする看護記録に記載はしないようにと言われている」などのコメントでした。
    現朝○院長がインタビューに答えていましたが、栄養補給はIVHしかないと言い訳をしていました。
    8月から新病棟が出来、それ以降は、IVHが減ったということのようです。改築費が過剰不正診療で、調達できたようです。
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